仏のことば ①  (『仏教聖典』仏教伝道協会 第四節)


わたしをののしった、わたしを笑っ た、わたしを打ったと思う者には、怨みは鎮まることがない。

 

怨みは怨みによって鎮まらない。怨みを忘れて、はじめて怨みは鎮まる。

 

屋根のふき方の悪い家に、雨が漏るように、よく修めていない心に、貪りのおもいがさしこむ。

 

怠るのは死の道、努め励むのは生の道である。愚かな人は怠り、智慧ある人は努め励む。

 

弓矢を作る人が、矢を削ってまっすぐにするように、賢い人は、その心を正しくする。

 

心は抑え難く、軽くたち騒いでととのえ難い。この心をととのえてこそ、安らかさが得られる。

 

怨みを抱く人のなすことよりも、かたきのなす悪よりも、この心は、人に悪事をなす。

 

この心を、貪りから守り、瞋りから守り、あらゆる悪事から守る人に、まことの安らぎが得られる。