彼岸


お彼岸「仏教週間」

 「暑さ寒さも彼岸まで」という言葉がありますが、春のお彼岸頃になると、寒さも緩み若葉が芽吹き温かくなります。秋のお彼岸頃になると夏の猛暑も峠を越え、紅葉の秋が訪れてきます。

 

 彼岸は、平安時代頃より始まり農業の種蒔き(春)と実り(秋)の節目(二十四節気)が仏教と結びついたといわれます。日本古来の仏教行事「お彼岸」は、春分の日・秋分の日を中日(ちゅうにち)といい、中日の前後7日間をお彼岸とします。

 日本人の多くがお寺やお墓に参り、彼岸花を見ながら、彼岸団子、春には牡丹餅、秋にはお萩をお供えし、亡き人や先祖を偲び感謝する供養の習慣があります。

 

 彼岸とは、欲望の多いこの世界「此岸(しがん)」から、悟りの世界「彼岸(ひがん)」へ到ろうということです。

 到彼岸(とうひがん)」がインドの古い言葉では「パーラミーター」といい、中国語に音写されて「波羅蜜(はらみつ)」になりました。日本語に訳すと「到彼岸(とうひがん)」=「彼の岸に到る」となります。

 『摩訶般若波羅蜜多心経』は、「大いなる智慧の教えにより彼の岸に到る」という意味です。人生には様々な川があります。我々は、苦労しながら川を渡り続けています。その人生最大の川の向こうに彼岸があるのです。煩悩の尽きない苦しい 「此の岸(このきし)」から苦しみのない「彼の岸(かのきし)」へ渡るため、より一層仏道を学び実践しようという仏教週間がお彼岸です。

 

 仏教には、「中道(ちゅうどう)」という教えがあります。中道とは、偏った考えや執着心を持たないことです。例えば、腹が立つと怒りが込み上げてきます。その怒りのまま言語行動を起こすと自分を見失い苦しみが生まれます。逆に、怒りを覚えないと無関心になり心を失います。つまり、そこに執着しない中間の道が善いということです。

 お彼岸は、昼夜の時間が同じです。どちらでもない中道の教えに通じると考えたのです。我々の先祖は、真東から太陽が昇り、真西に太陽が沈むことで彼方の仏の世界へ行けると考えたのです。また、先祖も成仏できると祈ったのです。

 

 悟りに到るための、「六波羅蜜(ろくはらみつ)」6つ修行徳目の実践があります。日常生活の実践と供養の実践をご紹介します。

 

六波羅蜜(ろくはらみつ)実践生活  六波羅蜜(ろくはらみつ)実践供養 

①布施(ふせ)

 物やお金、心を損得勘定なく施す事

①水(みず)

 水は生命の源であり、成長・供養の源

②持戒(じかい)

 規則を守る事、他人に迷惑をかけない事

②塗香(ずこう)

 悪臭を立ち、悪を払う

③忍辱(にんにく)

 苦難を耐え忍び、寛容である事

③花(はな)

 綺麗な花を供え、怒りを鎮める

④精進(しょうじん)

 常に善いことへの努力を続ける事

④線香(せんこう)

 火を灯し、香りを漂わせ続ける

⑤禅定(ぜんじょう)

 身と呼吸と心を落ち着かせ、反省する事

⑤飯食(おんじき)

 お腹を満たせて落ち着く

⑥智慧(ちえ)

  正しく物事をみて判断する事

⑥燈明(とうみょう)

  闇を照らし真実を明らかにする

 

 

 お彼岸を機会に、自分自身を見つめ直すことが大事なことだと思います。

悪い習慣は見直し、善い事をする節目にしていきましょう。善い種を蒔き、きちんと育てていけばやがて成長し実ります。一人一人が勤める事で、やがて習慣となり私が幸せになり、皆に善い種が広がり世の中も善くなっていきます。同時に、その善い行いがご先祖様への供養となるのではないでしょうか。