涅槃寂静(ねはんじゃくじょう)


 涅槃寂静は、煩悩、迷いや悩みが完全になくなった悟りの世界(涅槃)をいい、静かな安らぎの境地(寂静)であるということ。

 諸行無常は、全てのものは常に変化し、永久不変なものはないということ。

 諸法無我は、全てのものは因縁により生じ、実態がないということ。独自で存在するものはない。

 諸行無常・諸法無我・涅槃寂静は、仏教の基本である三法印。

 無常と無我を自覚して、生活を行うことが、煩悩を寂滅することのできる安らかな境地。

 大本山永平寺修行で三年目の春を迎えた時。新たに入門した修行僧へ毎日基本的な進退を指導していると、やる気にかける者や物覚えの悪い者がいました。何度言えばわかる。一度で覚えなさい。気がつくといつも口うるさくなっていました。そんなある日、見回りにきた老師が「皆、最初はあるもの。親切丁寧にお願いしますぞ」と言われた。

 その時ハッと気がつかされた。心穏やかにと思いながら、いつの間にか自分を見失い、いらつきから怒りと煩悩に火がつき苦しんでいたのは自分。怒りの心を消してくれた老師に感謝しております。