縁起


 「縁起がよい」などと世間一般でよく耳にしますが、本来『縁起(えんぎ)』とは釈尊の悟りの内容のことです。

 

 「縁起を見るものは法を見る、法を見るものは縁起を見る(中阿含経)」と経典に示されているように、縁起こそ仏教の基本的な思想です。

 

 縁起とは、縁りて起こる(よりておこる)という意味ですが、単独で存在するモノはなく、必ず原因によって結果があるのです。つまり、相互依存の関係が世界をつくっているのです。どんな存在や現象も永久不変のものはなく絶えず変化を繰り返しているのです。

 

 例えば、「私という人間」を考えてみましょう。

 私は、常に心臓が動き血は流れています。一見同じようですが常に変化しています。この時も…。

 この私の命は、両親にから(原因)授かりました。(結果)

 食事を頂かないと私は死を迎えます。

 多くの生命を頂き(原因)私の命は生かされています(結果)

 私と妻(原因)から子供が誕生しました。(結果)


 原因から結果が生まれ、その結果が原因となり、新たな結果を生む繰り返しなのです。(=因果の道理)

 多くの人の力を借り、自然の恩恵を受けて私は生かされているのです