……………………………………………………………………………………………………………………………………………………………

慈悲喜捨

……………………………………………………………………………………………………………………………………………………………

慈悲喜捨(じひきしゃ)

 

慈…慈しみ恵みを与える

悲…寄り添い苦しみを取り去る

喜…他者にも自分にも素直に喜ぶ

捨…我欲を捨てた思いやりの心

 

 生きとし生けるものに、恵みを与え、苦を取り抜き、ねたまず、好き嫌いで差別しない。「四無量心」ともいい、四つの測り知ることの出来ない利他の心を無量に発して、人々を安楽に導くことで、幸福になるという釈尊の教えです。

 

 岡山県瀬戸内市にある長島愛生園はハンセン病の国立療養所で、今年で開園九十二年を迎えます。ハンセン病は、国の誤った政策により強制隔離が行なわれ、社会から患者や家族に親族までもが、想像を絶する差別や偏見を受けました。長い間生きる権利を奪われ苦しみ、未だに根強い差別や偏見は解消されていません。

 長島愛生園自治会長・中尾伸治氏は、「社会の中から未だに差別を受ける。現実、故郷にお骨が帰れない。名前を変えている人が多い。家族に迷惑をかけないように、自分はハンセン病だと言えない入所者もいる。みんなが助け合い、一緒に生活出来るようになって欲しい。コロナ禍で起こる人権侵害は、私たちの時と同じことが繰り返されたことに戸惑いがある。強い者がいて、弱い者がいつも排除される。いつまでも変わらない。残念だ。」と言われます。

 元ハンセン病患者団体会長・神美知宏氏は、「加害者は国、被害者は私たち、傍観者は一般市民、加害者があれば被害者があり、それを見て見ぬふりをする、それもやはり差別者ではないでしょうか。」と言われます。

 いかなる問題も一人一人が感心を持ち、正しい理解を得て、自分勝手な心を捨て、慈悲の心で勤めましょう。すると慈悲心が育ち、偏った心は取り除かれ、慈悲の喜びに満たされるでしょう。