生死事大


生死事大(しょうじじだい)

 

無常迅速(むじょうじんそく)

 

各宜醒覚(かくぎせいかく)

 

慎勿放逸(しんもつほういつ)

 

【読み下し文】

生死は 事大にして(しょうじは じだいにして)

無常迅速なれば(むじょうじんそくなれば)

おのおの 宜しく醒覚して(おのおの よろしくせいかくして)

慎んで 放逸なること勿れ(つつしんで ほういつなることなかれ)

 

【現代語訳】    

生死は仏の一大事、時は無常に迅速に過ぎ去っていくから、各人はこのことに目覚めて、弁道精進につとめ、無為に過ごしてはいけない。

 

【コメント】

 年が明けて一歳を加えました。限りある命を思うと、「嗚呼!こんな生き方をしている場合ではない。今のうちに善いことの一つもしなければならない」と、焦りにも似た気持ちに駆られます。

 人間の正しい在りようを真剣に考える人であれば、神仏を敬い、皆に感謝し、己が進むべき道を探すはずです。いたずらに毎日を空しく過ごし、真面目さを欠いたまま年老いることは悲しいです。

 呱々の声を上げてより、赤ちゃんの時分の素直さと可愛さは、誰もが持ち合わせ、喜々として躍動しての成長でした。

 それなのに、いつの間にか狡さや悪い欲望に染まるようになる。これが、多くの人が知らず知らずに歩んでいる道ではないでしょうか。

 しかし、そんな人でも、年の瀬を何とか越して元旦を迎えると、清々しい気持ちになるはずです。

 いくつになっても遅くありません。思い立った日、それが己の吉日です。

 悪を払い、善きことならば実行致しましょう。

 何年生きたかではなく、どのような生き方をしたかが大切なのではないでしょうか