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啐啄同時 (そったくどうじ)
[ 『碧巌録』第一六則 鏡清草裏漢 ]
「啐」は、驚く、さけぶ。
「啄」は、ついばむ。
「同時」は、同じ時。
卵の中の雛がふ化する時に、内側から殻をコツコツつつく音が「啐」。それに応じて、親鳥が卵の殻の外からコツコツつつき破るのが「啄」。二人の気持ちがぴったりと合い、機を得て両者が相応ずるよい機会ということです。
雛は殻の中から、親鳥は殻の外からつつきます。時機を見はからい息をあわせます。早すぎたり遅すぎると雛の命に関わります。また強すぎても弱すぎてもいけません。雛と親鳥の意気投合した絶妙なタイミングで両者が同時に応じ合うことをいいます。
師匠と弟子の信頼関係が「啐啄同時」弟子は修行を積み重ね力量を得て、師匠は、育てた弟子の修行が熟した機を得て、悟りの手助けとなる機会を与えます。師弟の呼吸がピタリと合うと悟りの境地へ導かれるのです。
例えば、親が子に対して「早くしなさい」と言います。子はこれからやろうと思っていのに…、先に言われてやる気を失った。という経験はないでしょうか。これは相手を信頼しておらず、タイミングがあっていません。子に対してよいタイミングで指導やアドバイスをすることが、親や師匠の役目であります。それが子や弟子の成長へ繋がっていくでしょう。
これは師弟や親子だけでなく、上司と部下、先生と生徒、夫婦、兄弟、友人、売り手と買い手など、様々な関係においてもいえることです。相手のタイミングをお互いに分かり合えるよい関係を築きたいものです。
少林寺20世 清涼 晃輝(せいりょう こうき)
1979(昭和54)年生まれ
豊川稲荷(妙厳寺)
愛知学院大学卒業
㈱坪井屋佛檀店
大本山永平寺
動物供養総本山 長楽寺動物霊園などで修行
平成21年 少林寺、蓮光寺(奈義町)住職就任
曹洞宗 圓通閣 澤龍山 少林寺
(美作西國三十三観音十一番札所)
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